パリの悟り

c0038170_20454796.jpg「地下街の人々」が初めてケルアックに出会った本。ビートニクや詩、放浪といった世界の入り口を教えてもらった時に初めて出会ったのが彼でした。古本屋で売られていた「路上」をこれは必ず読んでおけと友人に半ば強引にすすめられはしたものの、同じ日にもっと薄くて読みやすそう、という理由だけで買ったのが「地下街の人々」。読後の印象はなんとも釈然としないものでした。浮かれた夜の街の片隅で繰り広げられる飲んだくれの男と若く美しいジャンキー女の恋とも言えない出会いと別れの話。でも私はその数年後、地下街の人々が住む夜気に冷やされたあの坂道ばかりの街で「落っこちた」訳で、やはりそれはとてもbebopだった。野方図でだらしないのにどこか小心。そして繊細で優雅に野蛮でもあるのだからそう、どこにでもいそうなありきたりの私みたいな人間を、ケルアックの中に見つけてしまうのでした。ずうずうしい、きれいごとなんてない至って等身大の私たち。

「パリの悟り」は彼が自分のルーツ(フランス系カナダ人)を探しにパリへと出かけた時を書き付けたもの。私も、旅をするときは必ずノートをもって出かけ、旅先で自分をひっくり返しては洗いざらい心の本音全部を書き出してきたので、彼のこの本を私は自分が書いたような錯覚さえ覚えるほどの親近感を抱いて読んでいます。

ケルアックに出会ってもう10年以上経ちますが、出会ったころには分からなかった、彼の言葉の選び方や物語が、今少しずつ迫るように分かり始めている自分がいること。それがなんとも嬉しいのです。
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by pieces_Yoshino | 2009-05-11 21:31 | books | Comments(0)

湘南・寒川町で旬の地場野菜を使った精進弁当「黒猫」を営んでいます。お届けしている精進弁当情報 や、店主の日々あれこれを載せています。「想い、言葉、行為」をたいせつに。人が生きる本当の道は、真理を知る事。お志事を通して社会や人類のお役に立たせて頂きたいと切に願っています。大好物は、笑顔!


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